2025/2/10
確定申告は納税の義務を果たすために欠かせない申請です。適切な内容で期間内に確定申告を行わなければ、罰則を受けてしまう可能性もあります。
この記事では、確定申告について詳しく解説します。合わせて、令和6年度分の確定申告はいつからいつまでに行わなければいけないのか、申請のやり方なども分かりやすく紹介しているため、申請義務のある方は参考にしてみてください。
確定申告とは、前年度分の収入から翌年に自分が支払うべき税金を計算して税務署に報告するための申告です。計算方法などはそれほど複雑ではないため、収入が多くない場合は個人で計算したり、会計ソフトなどを利用して申告したりすることもできます。
一般的に確定申告とは所得税に対する確定申告を指しますが、法人や消費税の納税義務者の場合は所得税以外にも法人税、消費税などの計算及び申告が必要です。
収入が多く自分自身で所得税の確定申告を行うのが難しい場合や、消費税、法人税など複雑な計算が必要になる場合は、税理士をはじめとした税務のプロに依頼して申請を行うのがよいでしょう。
会社などに勤めて給与による収入を得ている人は、会社が支払っている給与から所得などを算出して確定申告を行っているケースが多いため、特別な理由がない限り申請の義務は生じない場合が多いです。健康保険や住宅ローン、ふるさと納税などによって払い過ぎた税金の還付を受ける場合や、給与所得以外の収入があった人以外は基本的に確定申告を行う必要がありません。
個人事業主やフリーランスなど自営業の人は、基本的に確定申告を行う必要があると考えておきましょう。
所得税の確定申告では以下の10種類の所得を申告します。
・給与所得
・事業所得
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
会社などに勤めていて給与を受け取っている人でも、副業などによって複数の事業所から給与を受け取っていたり、何らかの一時所得や雑所得がある人も申請が必要です。
退職金や競馬の払戻金、懸賞金、生命保険の一時金、公的年金、FXなどによる利益など、給与所得以外の所得はそれぞれの区分によって申告を行う必要があります。
自営業やフリーランスなど、事業者は基本的に確定申告を行う義務があります。また、給与所得を得ている人のなかにも、条件に当てはまる人には確定申告が求められます。
続いては、確定申告の対象者について詳しく解説します。
正社員、非正規社員、パート、アルバイトなど、会社に所属し給与を得ている人の多くは、会社が確定申告を行い、払い過ぎた税金は年末調整として還付されているため確定申告は基本的に不要です。
一方、以下の条件に該当する人は給与所得を得ていても確定申告が必要なため注意してください。
・給与所得が2,000万円超えている場合
・源泉徴収の対象となる給与を1ヵ所の事業所から得ており、給与所得や退職所得を除く所得金額の合計が20万円を超える場合
・源泉徴収の対象となる給与を2カ所以上から得ており、年末調整されなかった収入額と給与や退職所得を除く所得との合計が20万円を超える場合
・源泉徴収の対象となる給与を1カ所の事業所から得ており、なおかつ公的年金等の収入金額が80万円を超える場合(昭和34年1月1日以前に生まれた人は130万円を超える場合)
・同族会社の役員や親族であり、同族会社から給与のほか貸付金の利子、物件等の賃貸料、機器の使用料等による収入を得ている場合
・災害免除法によって給与から所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予および還付を受けた場合
・在日外国公館に勤務する人、所得税を源泉徴収されたない給与の支払いを得ている場合
複雑に記載されていますが、なかでも最も多いのが会社からの給与を得ながらフリーランスとして仕事を受注し副業としての収入を得ているケースです。
また、近年趣味などで作成しているハンドメイド作品を個人で販売し売上を上げているケースも多くなっています。これらのケースでも雑収入が20万円を超えた場合確定申告が必要なので注意してください。
副業をしているつもりではなかったとしても年間で20万円以上の所得を得た場合には確定申告が必要である可能性が高くなります。
公的年金を受け取っている人の場合、以下の条件に該当する人は確定申告が必要です。
・公的年金の金額から所得税控除を差し引いた際に残額が残る場合
・源泉徴収の対象となる公的年金が400万円を超える場合
この他、外国年金は源泉徴収の対象外となるため受給している場合は確定申告義務が発生します。
外国企業の退職金は源泉徴収の対象外となるため、個人での確定申告が必要です。
ただし、事業所から退職金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に提出している場合、会社で確定申告を行ってくれるケースが多く個人の確定申告は不要となる可能性が高いです。
譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産譲渡による所得のことを言います。交換、競売、建物弁済、財産分与、収用なども譲渡所得の対象です。
譲渡によって得られる所得のなかでも、事業用商品の棚卸資産、山林の譲渡による所得は譲渡所得に該当しないので注意してください。
これらの譲渡所得から所得控除、配当控除などを差し引いた際に所得金額の残高がある場合は確定申告が必要です。
山林所得とは、山林を譲渡したことで得られる所得のことを言います。
山林を取得して5年以内に譲渡する場合、山林所得ではなく事業所得または雑所得として計算する必要があるため注意してください。また、山林を土地と共に譲渡する場合、土地部分のみ譲渡所得の対象となるため、こちらも合わせて注意しましょう。
これらの山林所得から所得控除、配当控除などを差し引いた際に所得金額の残高がある場合は確定申告が必要です。
確定申告は前年度の所得について申請するため、2025年(令和7年)の所定の期間に2024年度分(令和6年度分)の確定申告を行います。
2025年(令和6年度分)の確定申告受付期間は2025年2月17日から2025年3月17日までと告知されています。
確定申告は所定期間に行う必要があるため、事前に準備をしておくなどして期間内に必ず申告を完了させましょう。
所定の期間内に確定申告を完了させなかった場合、以下の加算税を課される可能性があります。
・無申告加算税・
延滞税
確定申告自体は期間が過ぎてしまっても受け付けてもらえます。しかし、上記の加算を課される可能性が高く、申告書を提出した日が納税期限となるため注意してください。
一方、確定申告について以下が認められた場合には無申告加算税の対象外となる可能性があります。
・定められた期間後1ヶ月以内に自ら申告を行っている場合
・期限内に申告しようとしていたができなかったという状況が認められた場合
後者の条件に関しては以下に当てはまる場合にのみ認められます。
・申告によって計算された税金の全額を法定の納税期限までに支払っている(口座振替の場合は申告書の提出日まで)
・申告書を提出した日の前日から遡って5年以内に無申告加算税もしくは重加算税の対象となっていない
加算税額は以下となります。
<事前通知前>
税務調査による事前通知前に自主的に期限後申告をした場合(納付すべき税金が50万円以下のケース) | 納付すべき税金に10%を乗じた金額 |
税務調査による事前通知前に自主的に期限後申告をした場合(納付すべき税金が50万円以上300万円以下のケース) | 納付すべき税金に15%を乗じた金額 |
税務調査による事前通知前に自主的に期限後申告をした場合(納付すべき税金が300万円以上のケース) | 納付すべき税金に25%を乗じた金額 |
<事前通知後>
税務調査による事前通知後に期限後申告をした場合(納付すべき税金が50万円以下のケース) | 納付すべき税金に15%を乗じた金額 |
税務調査による事前通知後に期限後申告をした場合(納付すべき税金が50万円以上300万円以下のケース) | 納付すべき税金に20%を乗じた金額 |
税務調査による事前通知後に期限後申告をした場合(納付すべき税金が300万円以上のケース) | 納付すべき税金に30%を乗じた金額 |
この他、延滞税が加算される可能性も高いため、確定申告期間が過ぎてしまった場合は早急に申告を完了させましょう。
確定申告は以下の3つの方法で行うことができます。
・書類を作成して税務署に直接申請書を持参する
・書類を作成して税務署に申請書を郵送する
・パソコンやスマホでe-Tax(電子申請)を利用して申請書を提出する
国税庁はe-Taxの電子申請を推奨しており、フリーランスをはじめとした事業主の場合、e-Taxを利用して申請しなければ受けられない控除などもあります。
これまで、e-Taxはパソコン用のページしか用意されていなかったためスマホからは申請しにくいという声があがっていました。しかし、2025年(令和6年度分)からは、所得税に関する全てのページがスマホ対応となり、操作しやすくなっています。
また、スマホ用電子証明書に対応するため、申請の際にスマホでマイナンバーカードを読み取る必要がなくなります。(AndroidOSのみ対応)利用者証明電子証明書用パスワードの入力などが、スマホの生体認証機能などで代用できるようになるため、入力が容易になるでしょう。
確定申告を行う際には以下の書類が必要です。
・確定申告書
・本人確認書類
・所得金額の分かる書類
・控除に必要な書類
・銀行口座の番号
確定申告書は書面で作成する場合、税務署や確定申告の会場、自治体の担当窓口、確定申告の指導相談会場などで受け取ったり、国税庁のホームページからダウンロードできます。
会計ソフトなどを利用して確定申告を行う場合は、ソフトで作成した確定申告書をそのまま印刷して提出しても構いません。e-Taxで電子申請する場合は、確定申告書の用紙を用意する必要はありません。
確定申告のやり方には大きく分けて3つの方法があります。
確定申告書は、自分で計算したものを手書きで記入しても構いません。税務署に直接提出もしくは郵送で受理してもらうことも可能です。
確定申告書に記載されている通りに金額を記入、計算して作成すれば申告書を作成することができますが、自分で計算しているケースでは計算方法や所得の区分が間違ってしまっていることも少なくありません。
税務署に申告書を持ち込みすれば、その場で内容を確認してもらえるため、自分で計算して申告書を作成する場合には持ち込みをするのがよいでしょう。ただし、確定申告提出期間中の税務署は大変混雑している可能性が高いです。
国税局のホームページからe-Taxを利用して電子申請を行うこともできます。e-Taxでは、質問に答えていく形式で所得を入力していけば、自動的に計算し確定申告書を作成してもらえるため、間違える心配が少ないでしょう。
ただし、電子申請にはマイナカードが必要です。電子リーダーやスマホなどによるマイナカードの読み込みなどが必要なケースもあります。
また会計ソフトなどで確定申告書類を作成し、e-Taxから電子申請を行うこともできます。日頃から会計ソフトに収支を記録しておくことで、簡単に確定申告書類が作成可能です。
個人事業主や法人等、収入額が多かったり複雑な計算が必要となる場合は、税理士に依頼し確定申告を代行してもらえます。費用がかかるものの、確定申告に必要な書類を提出すれば間違いなく申請してもらえるため、事業者のなかには税理士等に代行申請してもらうケースが多く見られます。
確定申告は納税義務を果たすために欠かせない申告です。対象となる人は必ず期限内に適切な申告を行いましょう。2024年度分(令和6年度分)の確定申告期間は、2025年2月17日から2025年3月17日までです。期限を過ぎてしまうとペナルティを受ける可能性が高いため、事前に準備しておくのがおすすめです。
個人事業主や法人の場合、所得として申請する金額等が多く、必要書類を作成するための計算等も複雑で手間がかかってしまいます。事業と平行して行う際に大きな負担となってしまうこともあるでしょう。
こういったケースでは、税理士に依頼して代行してもらう方法を検討してみるのもよいでしょう。
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