お役立ちコラム

会社設立のメリット・デメリットとは?検討のタイミングや手順も分かりやすく解説

2024/10/18

個人事業主として起業した場合、経営が軌道に乗り始めると会社設立を検討する方も多いでしょう。

しかし、どのようなタイミングで会社を設立するのがベストなのか、会社を設立するメリットやデメリットにはどのようなものがあるのか分からず躊躇するケースも多く聞かれます。

この記事では、会社設立のメリット・デメリットを中心に、検討するタイミングや会社設立の手順についても分かりやすく解説します。

会社を設立しようか悩んでいる人や会社設立の流れを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

会社設立を検討するタイミング

個人事業主として起業した場合、適切なタイミングで会社設立を行えばさまざまなメリットを教授できます。一方、誤ったタイミングで会社設立をしてしまうと、経営にとってマイナスになってしまうこともあるため注意が必要です。

会社設立を検討するなら、売上高が1,000万円を超えて消費税の納税義務が発生するタイミングが推奨されます。

課税売上が1,000万円を超えた場合、翌々年から消費税の納税義務が発生します。一方で、会社を設立をしてから2年間は消費税の納税義務が免除されるため、売上高が1,000万円を超えた翌々年までに会社設立をすれば、高い節税効果が期待できるでしょう。

消費税の納税義務免除は、会社設立後の確定申告から適用されます。そのため、課税売上高が1,000万円を超えた翌年中に会社を設立することで最大3年間の消費税納付が免除されます。

個人事業主が会社設立をする5つのメリット

個人事業主が会社を設立する際に得られるメリットは消費税の納税免除だけではありません。続いては、会社を設立する5つのメリットについて解説します。

メリット1.節税効果がある

会社を設立することで、法人用の課税制度が適用されます。法人用の課税制度は、個人事業主用の課税制度よりも節税効果の高いものが少なくありません。
一例として、法人用の課税制度には以下のものがあります。

  • 資本金1億円以下、所得800万円以上の場合、所得税に比べて法人税の方が税率が低くなる
  • 経営者(役員報酬)の給与を経費換算できる
  • 経費で清算できる項目が個人事業主に比べて広い

ここで紹介しているものの他にも、法人となることで高い節税効果が得られます。

メリット2.決算月を任意で設定できる

個人事業主の場合、決算は1~12月に定められています。しかし、決算の最終月と繁忙期が重なってしまうと申告作業などに負担がかかってしまうこともあるでしょう。

法人の場合、任意で決算月を設定できます。繁忙期と決算月が重ならないようにすることで申告業務をスムーズに行いやすくなります。

メリット3.信用を得やすくなる

個人事業主の場合、社会的信用を得にくく銀行の融資を受け難かったり住宅ローンなどを組み難かったりすることもあります。

しかし、会社を設立することで法人として扱われるため、社会的信用を得やすくなるでしょう。特に充分な資本金を準備した場合、社会的に信用度の高い会社として認識してもらえます。

企業のなかには、法人としか取引しない会社もあるため、法人化することで取引先が増える可能性もあるでしょう。

メリット4.リスクを最小化できる

個人事業主に課せられる責任は事業上の全てが対象となる無限責任です。個人事業主には、万が一事業で失敗してしまった場合、債権者に対して負債総額を全て保証する責任が発生します。

一方、会社を設立して法人化した場合、有限責任となり債権者に対する保証は出資額を上限とし、出資額以上の責任を追う必要がありません。

法人化することで、事業を行う際のリスクを最小限に抑えることができます。

メリット5.社会保険に加入できる

会社を設立し法人化した場合、健康保険、厚生年金、労災保険などの社会保険に加入することができます。

社会保険に加入することで、福利厚生が手厚くなり求人募集などをしやすくなるでしょう。

会社設立をするデメリット

会社を設立することで得られるメリットは多々ありますが、デメリットについても理解しておく必要があります。

  • 事業が赤字の場合でも法人税が発生する
  • 会社を解散させる場合に費用が必要になる
  • 強制的に社会保険への加入が求められる
  • 法人特有の事務作業が増える

会社設立の最も大きなデメリットは、事業が上手くいかなかった場合に発生するものが少なくありません。

個人事業主の場合、事業で赤字が出た場合に所得税がかからなかったり住民税、国民健康保険が最低限の金額に抑えられる等の救済措置があります。一方で、法人の場合は事業売上が赤字になっていたとしても法人税は発生し、最低でも年間約7万円の納税が求められます。

また、個人事業主は廃業届を提出すれば事業を廃業することができますが、法人の場合はそう簡単にはいきません。

株主総会の開催や解散決議、解散登記、清算人専任登記、財産目録の作成、貸借対照表の作成、解散確定申告、公告、催告、清算事務、残余財産の分配、清算決了登記など、会社を解散する際にさまざまな手続きが必要です。また、解散のために約4万円の費用も発生します。

株式会社と合同会社の違い

会社を設立する場合、株式会社や合同会社等の形態を選ぶことができます。

株式会社は出資者と経営者が分離しているのに対し、合同会社は出資者と経営者が同じです。合同会社は設立費用が比較的抑えられるなどのメリットがある一方、社会的信用度が株式会社に劣るなどのデメリットもあります。

公告義務社会的信用設立費用の目安
株式会社有り高い約25万円~
合同会社無し低い約10万円~

どちらの形式であっても一長一短があるため、株式会社と合同会社それぞれの違いを理解し選択することが大切です。

会社設立の流れ

会社の設立は個人でも行うことができます。続いては、会社設立の流れについてみていきましょう。

1.会社の基本情報を決める

会社の基本情報として、以下の項目を決定します。

  • 会社形態
  • 社名
  • 出資金
  • 住所
  • 会社設立日
  • 会計年度
  • 事業目的
  • 株式構成
  • 役員

特に、事業目的は今後の自社の成長も見据えた上で検討する必要があります。定款に定められている事業以外は原則として認められません。そのため、将来的に行いたい事業なども踏まえて事業目的を制定する必要があるでしょう。

また、資本金についても充分な検討が必要です。資本金が少ないと社会的信用を得にくい場合があります。事業に差し支えない範囲で、充分な資本金を準備できるよう計画することが大切です。

2.法人用として利用する実印を作成する

会社設立に際して、法人用の印鑑を作成する必要があります。
法人用印鑑は、1辺の長さが1cm以上3cm未満の正方形に収まるものとする規定があるため、実印販売業者に作成依頼をするのが一般的です。

実印の作成費用は1万円前後が相場となっています。制作に1週間前後かかるケースが多いため、余裕を持って準備しておきましょう。

3.定款の作成と認証手続きをする

定款は会社設立に欠かせない書類です。定款には会社の基本情報や規則などを記載し、法務局と公証役場に提出する必要があります。定款は自社でも保管する必要があるため、最低3部用意しておきましょう。

定款には主に以下の内容を記し合します。

  • 事業目的
  • 社名
  • 本社の住所
  • 資本金額
  • 発起人の氏名・住所

また、これらの内容以外にも相対的記載事項や任意的記載事項の記載も求められるため、必要な内容を漏れなく記載する必要があります。

4.資本金を払い込む

定款を作成・認証した後に資本金の払い込みを行います。資本金の払い込みは、発起人の個人口座から行うケースが多いです。

払い込み完了後に、通帳の表紙の裏表と振込ページのコピーをとっておきます。銀行通帳のコピーは登記申請の際に必要となるため、大切に保管しておいてください。

5.登記書類の作成・登記申請をする

登記申請は法務局で行います。
以下の書類を用意して法務局にて登記申請を行ってください。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 発起人決定書
  • 取締役の就任承諾書
  • 代表取締役および設立時監査役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑登録証明書
  • 通帳のコピー(出資金の払い込みをした際のもの)
  • 印鑑届出書
  • 登記事項を記載した書面(又はCD-R)

登記申請の手続きは7~10日ほどで完了します。不備があった場合には、法務局から連絡があるため、適切に対応しましょう。問題なく登記が完了した場合、法務局からの通知等は行われません。

会社設立後にすぐ行うべき手続き

会社設立後もさまざまな手続きが必要です。特に以下の3つの手続きは、会社設立後すぐに行う必要があります。

  • 税金関係の手続き
  • 社会保険関係の手続き
  • 労働保険関係の手続き

手続きの内容によっては、期限が限られるものもあります。まずは、直ぐにとりかかるべき手続きの内容と期限を把握し、漏れの無いように処理していきましょう。

会社設立に関するQ&A

ここまで会社設立のメリット・デメリットや流れを紹介してきました。しかし、他にも疑問に思う点が多くあるでしょう。

続いては、会社設立にあたってよくある疑問にお答えします。

会社設立にかかる費用は?

会社設立の際に必要な費用は形態によって異なります。

株式会社合同会社
定款認証手数料約3万円~
定款の謄本取得費用約250円
収入印紙代約4万円
(電子定款の場合不要)
約4万円
(電子定款の場合不要)
設立登記費用15万円~6万円~
法人用印鑑作成費用約1万円約1万円
印鑑証明の取得費用約750円(個人分+法人分)約750円(個人分+法人分)
登記事項証明書の取得費用約600円約600円

合同会社の場合、定款認証が不要なため大幅に設立費用を抑えることができるでしょう。また、電子定款を利用することで設立コストを抑えることもできます。

ここで紹介している費用の他に出資金も必要となります。

会社設立にかかる時間は?

会社設立自体は最短で約2週間で手続きを完了させることも可能です。

ただし、法人用印鑑の作成や定款の作成、定款認証などさまざまな手続きを同時進行で行う必要があるため現実的とは言えないでしょう。

既存の事業を継続しつつ会社設立を自分自身で行う場合約1ヶ月ほどの期間を必要とするケースが多いです。

早く会社設立の手続きを完了させたい場合には、税理士や司法書士などに依頼して手続きを代行してもらうのがよいでしょう。

資本金はどのように決めればいい?

資本金は社会的信用に直結します。現行の法律では資本金1円でも会社の設立が可能です。しかし、資本金1円の会社に得られる社会的信用はほとんど無いといっても過言ではありません。

資本金はできる限り多く用意しておくことで、今後の業務を行うにあたって融資を受けやすくなったり取引先からの信用を得られたりする事に繋がります。

最低でも、3か月分の運転資金程度の金額を資本金として用意するのがよいでしょう。

会社設立の手続きに不安があるなら専門家に依頼するのもおすすめ

会社設立を検討する際には、さまざまな専門知識が必要です。事業の規模や内容、今後の展望によって会社形態を決めたり事業内容を決めたりする必要もあり、専門家のアドバイスを受けながら検討していくのがよいでしょう。

また、書類作成や書類の取り寄せなども、事業を行いながら平行して作業を進めようとすると簡単ではありません。

ミスが起これば修正や対応が必要になりますし、個人で会社を設立できるとは言え、事業の片手間に短期間で完了させるのは至難の業です。

会社設立や設立後の税務などに不安があるなら、税務顧問などに依頼して専門家に手続きを代行もらうのがおすすめです。税務顧問に依頼することで、事業に集中しつつ同時進行で会社設立の手続きを進めることができます。

まとめ

会社設立にあたって、検討するタイミングや形態の選択はとても重要な問題です。内容を深く理解して検討しなければ、安易な選択で今後の事業に影を指してしまうリスクもあります。

会社設立にあたって不安がある場合には、専門家への依頼を検討するのがよいでしょう。

No.1税理士法人では、飲食業、建設業、介護業、情報サービス業に特化した税理士が会社設立のサポートを行います。ご依頼を頂ければ、事業に集中した状態で会社設立の手続きを進めることができます。

会社設立のご依頼はぜひNo.1税理士法人にご依頼ください。

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