2022/6/27
創業したいと考えているのであれば、当然事業を行うためのお金が必要です。
しかし、そのお金を自己資金のみで調達するのは、ほぼ不可能に近いといえるでしょう。
そこで、足りない分のお金を補うために創業融資を受ける必要があります。
創業融資とは、創業するためのお金を金融機関などから借りて調達するというものです。
しかし、創業融資を受けるには基本的に自己資金がないと難しいので、中には諦めてしまう人も多いでしょう。
そこで本記事では、自己資金を補う方法や、自己資金があまりなくても融資を受けられる制度について解説しています。
創業したいけど、お金が準備できなくて困っている方は、ぜひ最後までお読みください。
「自己資金」という言葉をたびたび耳にすることはあっても、厳密な定義について分からない人も多いかもしれません。
ここでは、そもそも自己資金とはどういうものなのかについて解説していきます。
自己資金とは、自分が持っているお金のことをいいます。
他人から借りて、返さなければいけないお金は自己資金に含まれません。
ここで重要なのが、預貯金通帳に記載のある金額のみが自己資金として扱われるということです。
つまり、財布に入っているお金やタンスにしまわれているお金など、口座に振り込まれていない現金は自己資金として認められません。
「融資をするには自己資金は大体いくらあれば大丈夫なの?」と不安に思う人も多いですが、具体的な金額については人それぞれで大きく異なるためはっきりといえません。
ただ、多ければ多いほど審査に通る確率が高くなるということだけは、押さえておきましょう。
後ほど紹介する日本政策金融公庫の新創業融資制度では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を必要としています。
しかし、一般的な目安としては、創業資金の30%以上に相当する金額を自己資金で用意するのが良いでしょう。
もちろん、目安の金額を満たしていても確実に審査に通るとは限らないので、なるべく時間をかけてコツコツ貯めるのをおすすめします。
見せ金とは、他者からお金を借り入れた後、審査に通ったらすぐに全額返済するというやり方のことをいいます。
つまり、一時的に借りたお金で自己資金が沢山あるように見せかけているというわけです。
この見せ金という行為は違法であるため、絶対に行ってはいけません。
融資の審査では、一度に大金が振り込まれた履歴がないかどうかなどを調べ、見せ金をしていないか厳しくチェックしています。
なかなかお金が貯められなくて困っている方向けに、自己資金を補う方法を紹介します。
どうしてもお金が足りないとき、親や兄弟をはじめ親族から援助してもらうという人もいます。
返済の必要がある借りたお金は自己資金として認められませんが、贈与という形であれば認められるところが多いです。
ただし、援助してもらう場合、相手から直接口座に振り込んでもらう必要があります。
現金で受け取ってから自分で口座に振り込むのは出所が分かりにくいため、避けた方が良いです。
また、相手の意志によって贈与してもらったことを証明するため、贈与契約書を作成することも忘れずにしておきましょう。
補助金や助成金はどちらも、創業したい人の資金調達を支援するための制度です。
補助金は経済産業省によるもので、無事に申請が通れば後払いにて給付される仕組みです。
一方助成金は厚生労働省が主体で、必要条件を満たしていれば必ず受け取ることができます。
どちらの制度も、さらに細かく種類が分かれているため、自分に合ったものを見つけることが大切です。
詳しい申請方法や必要条件については、専門サイトで確認してみてください。
一般的には、自己資金がないと融資を受けるのは難しいですが、中には例外もあります。
ここでは、自己資金がほとんどゼロでも利用できる日本政策金融公庫の融資制度を紹介します。
新しく会社を立ち上げる人のための制度で、無担保・無保証で融資を受けられるのが魅力です。
創業資金総額の10%以上の自己資金を必要としますが、次の二つの条件のうち一つでも満たせていれば金額問わず融資を申請できます。
現在務めている企業と同業種の事業を始める方
産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
雇用の創出を伴う事業を始める方
民間の金融機関と公庫による協調融資を受けた上で事業を始める方
中小企業経営力強化資金は、新創業融資制度と違って基本的に自己資金額の要件がないということがメリットとなります。
その代わり、以下の①と②の条件のどちらかを全て満たしていなければ申請できません。
次の全てに当てはまる方
(1)経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方
(2)事業計画書を策定し、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方
次の全てに当てはまる方
(1)「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用している方または適用する予定である方
(2)事業計画書を策定する方
挑戦支援資本強化特例制度は、資本制ローンとなっています。
自己資金額の要件がない代わりに、以下の二つの条件を両方満たしていることが必要です。
地域経済の活性化にかかる事業を行う。
税務申告を一期以上行っている場合は、原則として所得税等を完納している。
出典:資本性劣後ローン
今回は、創業のために自己資金を補う方法や、自己資金がなくても利用できる融資の制度について紹介しました。
本記事で紹介した日本政策金融公庫による融資制度だけでなく、自治体や金融機関などが実施しているものも沢山あります。
さまざまな制度を上手く利用すれば、自己資金が少ない人でも融資を受けることができます。
しかし、創業は決して焦ってするものではないため、なるべく自己資金をコツコツ貯めていってから行うのが望ましいです。
なるべくリスクを最低限に抑えられるよう、慎重に計画しましょう。
会社の設立は、プロに相談しながら行った方が安心です。
段取り良く設立したいという方は、ぜひNo.1税理士法人にご相談ください。