2021/11/10
資金調達や資金確保は、経営者や起業家にとってとても重要な仕事の一つです。調達方法の中でもスタンダードなのは、金融機関や公的機関の融資制度を利用することです。しかし、誰でも借りられるわけではなく、また条件によってはかなり不利な借入になることもあります。
そこで注目されているのが資本性ローンという公的融資です。
ここでは、資本性ローンについて詳しく解説するので、資金調達の参考にしてください。
結論からいうと、創業融資で返済不要な融資はありません。
しかし、最長15年まで返済不要な公的融資はあります。
これが資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)というもので、返済期間中は元金の返済不要となっているため、業績がどうなるか分からない創業時に受ける融資としてはもっとも理想的な制度と言えるでしょう。
資本性ローンは、女性や若者、シニアの起業家支援金などの各種融資で、一定の条件に該当する場合に適用される融資制度の特例です。
一般的な融資と違い、資本性資金を供給する制度となっているため、負債ではなく資本とみなされる資金調達方法となっています。
資本性ローンの制度の中身は、各業態や事業特性、用途などによって変わりますが、基本的に国民生活事業と中小企業事業の2つに分けられています。
ここでは、創業融資で利用できる国民生活事業の資本性ローンの融資金額上限や返済期間などを紹介します。
資本性ローンの利率は、業績に応じて設定されるため、企業によって異なります。
借入審査が通った場合は、売上高減価償却前経営利益率と貸付期間で利率が決まることになっていますが、利率に関しては変更されることもあるので担当者に確認しましょう。
資本性ローンの融資限度額は4,000万円となっています。
ただし、「事業承継・集約・活性化支援資金」もしくは「生活衛生事業承継・集約・活性化支援資金」で融資を受ける場合は、別枠で4,000万円(以前の借入を含まない)となります。
資本性ローンの返済期間は、5年1ヵ月以上15年以内とされています。
返済期間中は利息だけの支払いとなっており、元金は最後の返済日に一括して返済するというシステムです。
ただし、一括返済は返済最終回のみと決まっているため、前倒しで一括返済できないということを踏まえて返済期限を決めて下さい。
資本性ローンは誰でも融資してもらえるというものではなく、融資制度の対象となっている必要があります。
また、提出しなければいけない書類や定期報告もあるため、簡単に借入ができるわけではありません。
ここでは、融資が受けられる条件などを解説します。
資本性ローンが受けられるのは、以下の融資制度に当てはまっている対象者のみとなっています。
こう見ると、ほとんどの融資制度が対象になっているように思えますが、実際は各制度ごとに細かい補足が付いており、補足の条件を満たしていなければ対象になりません。
また、下記の条件も満たす必要があります。
※参考資料:挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン) 日本政策金融公庫
対象だけでもこれだけいろいろな条件で絞られているため、自己判断で申し込むのではなく、事前に税理士など専門家に相談してから申請するのがベストです。
資本性ローンを借入する場合は、事業計画書の提出と、定期的な経営状況報告をする必要があります。
事業計画書は借入期間(最長15年)分の計画を記載すること、四半期ごとの経営状況の報告をすることで申込みができるので、事前にしっかり準備をしておきましょう。
借入申込書や記入例は日本政策金融公庫 各種書式ダウンロード(※)で確認できるのでチェックしておくことをおすすめします。
※参考資料:日本政策金融公庫 各種書式ダウンロード
資本性ローンは株式発行不要、返済期間中は利息のみの支払い、利率は業績に応じて変動などメリットが多い公的融資です。
その反面、業績が良ければ利率が高くなる、一括返済できないなどのデメリットもあるため、単にメリットだけを見て借入をしないよう注意する必要もあります。
また、複雑で分かりづらい制度なので、利用したくても対象になっているか分からないなど資本性ローンの利用や創業資金・融資についてお悩みの場合はご相談ください。