2021/9/29
株式会社の設立時には多額の資金が必要となります。
その資金を誰が出資するのかにより、設立方法が異なります。
設立方法が異なれば手続きなども変わるため、違いを把握することは大切です。
2つの設立方法の違いと共通点について解説していきます。
株式会社というのは、設立にあたる資金を調達するために株式を発行します。
出資する人はその株式を引き受け、資金を提供することになります。
会社設立時に誰が株式を引き受けるのかにより「発起設立」と「募集設立」の2つの方法に分けられていきます。
発起設立は発起人が株式を引き受け出資します。
そのため発起人1人でも株式会社が設立できます。
発起人が複数いる場合、それぞれから出資が受けられますが、出資者は全て発起人でなければなりません。
そのため狭い範囲でのみ資金調達が可能な方法です。
募集設立でも発起人がいて会社を設立する点は変わりませんが、出資してくれる人を募り多くの人から資金を調達しようとする設立方法となります。
発起人以外の第三者からも資金調達が可能となる設立方法です。
発起設立と募集設立で大きく異なる点は、先ほど紹介した通り出資者の範囲が異なる点です。
それ以外に違う点について解説していきます。
設立時の手続きが変わってきます。
発起設立では発起人の間で同意が得られれば、さまざまなことを決定していけます。
会社設立における手続きが容易で、スピーディーに会社が立ち上がっていきます。
一方募集設立は創立にあたり「創立総会」を実施し、厳しいルールの中で話し合いを持つことになります。
創立総会は開催の2週間前までに、株式を引き受ける予定の出資者に創立総会を開催する目的を定め、話し合う内容を通知しなければなりません。
複雑な手続きを経て、初めて株式会社設立が可能となります。
株式会社では役員を定める必要があります。
発起設立の場合には、役員の決定も発起人間の話し合いで決定できます。
一方、募集設立は創立総会での議決を経る必要があります。
設立総会は、議決権を持つ株主が議決権の過半数以上出席する必要があります。
さらに役員を決定する際には、3分の2以上の出席した株主の議決権が必要です。
異なる部分がある2つの設立方法ですが、共通点もいくつかあります。
ここからは共通点についての解説となります。
株式会社設立にあたり、会社を設立しようとする人が必要となります。
会社を設立しようと言い出す人のことを「発起人」といいます。
発起人は1人でもよいですし、複数でも構いません。
まずはどのような事業を営む会社なのかを決める「起業計画書」を発起人が作成します。
どのような人が役員となり、どのような事業目的を持つ会社なのか、明確に分かるルールブックを作成する必要があります。
このルールブックを「定款」といいます。
定款には以下の3点を記載していきます。
・絶対的記載事項:法律により必ず記載しなければならない事項です。
事業の目的や商号、本社所在地、資本金額、発起人の住所や氏名を記載します。
・相対的記載事項:記載することで定款の効力が発生する事項です。
法律上は記載しなくても問題はありませんが、記載しないとその事項自体の効力が認められない場合に記載します。
・任意的記載事項:上記2つの記載事項に該当しない事項です。
株式総会を開催するための規定や、役員報酬についてなどが該当します。
定款は作成後に公証役場で認証を受ける必要があります。
また定款を変更する場合には、株主総会での議決を経る必要があります。
認証にかかる費用は5万2千円~9万2千円程度です。
その内訳は
・公証人に支払う手数料:1件につき50,000円
・設立登記申請用の謄本請求手数料:謄本1ページにつき250円なのでおおむね8ページ分2,000円程度。
・収入印紙代:40,000円(ただし電子定款の場合は不要)
設立にあたり必要となる発起人は、同時に設立時に株式会社に出資し株式を引き受ける必要があります。
発起設立では株主と発起人が同一となります。
募集設立の場合、発起人は株主でなければなりませんが、株主の全てが発起人というわけではありません。
株式会社として設立するときには、必ず法務局に登記申請しなければなりません。
登記に際に必要となる費用についても違いはありません。
資本金が2,142万円を超えない場合、登記費用は15万円です。
それ以上の場合には、資本金に1,000分の7を乗じた金額がかかります。
株式会社設立には2つの方法があります。
それぞれ違いと共通点があります。
初めて株式会社設立を目指す場合には、どちらがよいか、どのように手続きを進めるべきか迷うことが多いでしょう。
弊社では会社設立のための支援を実施しています。
会社設立を検討している場合には、ぜひご相談ください。