2021/9/28
これから事業を始める方の中には、創業融資を受けたいと考える方がいるでしょう。
創業融資にはいくつかの種類がありますが、どの制度でも一定以上の自己資金が必要となります。
どうして自己資金が必要なのか、またどのような資金が自己資金として認められるのかを解説します。
事業を始めるには多額の資金が必要となります。
ただ、創業していない状態や創業間もない状態では、資金は集まりにくいでしょう。
そこで創業を応援するための制度として創業融資があります。
創業融資はいくつかの種類があります。
日本政策金融公庫では「新創業融資」という制度を取り扱っています。
この融資は担保も保証人も原則として不要なので、資産がない状態でも融資が受けられます。
最大3,000万円まで融資が受けられますが、原則として融資金額の10分の1以上の自己資金が必要となります。
各自治体でも創業融資の制度があります。
この制度は金融機関と保証協会と自治体が一丸となり、創業時にバックアップするものです。
日本政策金融公庫の融資に比べ、自己資金に関する要件が厳しくなります。
一般的には2分の1以上の自己資金割合が求められ、さらに連帯保証人も必要となります。
創業融資を受けるためには、その要件に自己資金があることが含まれているためです。
つまり自己資金がなければ、創業融資そのものが受けられません。
自己資金の有無は、その人の計画性や返済能力を判断する材料にもなっています。
「自己資金を貯められた人は計画性がある」「融資実行後の返済もしっかりしてもらえるであろう」と考えられるからです。
創業融資における自己資金は、返済予定がない資金のことを指します。
つまり創業にあたり、他の金融機関から借りたお金や、親族や友人から借りたお金など返済が必要なお金は自己資金になりません。
また誰から見ても分かる資金でなければなりません。
そのためタンス預金など手持ちの現金は、自己資金とは認められないのです。
実際に自己資金として認められる資金は次のような資金です。
毎月の収入の中からコツコツと貯めた自分名義の預貯金は、自己資金として認められます。
通帳を見れば、誰が見ても自分のお金であることが分かります。
またコツコツと貯めた計画性が、金融機関にとっては返済もしっかりとできると判断される材料となります。
婚姻関係にある場合には、配偶者名義の預貯金も自分名義の預貯金と同様に自己資金として認められます。
創業にあたり両親や親族から資金援助を受けることがあるでしょう。
ですが、その資金はもしかしたら後々返済しなければならない性質のものの可能性があります。
そのため、贈与されたものであることが証明できる「贈与契約書」を作成するなど返済義務がないことが証明できる必要があります。
退職金を元手として事業を始めようとする方もいるでしょう。
退職金も返済義務がない資金なので自己資金として認められますが、退職金である証明が必要になります。
退職金の源泉徴収票などを準備しておきましょう。
創業にあたり、自分の資産を売却し、その売却益を資金として活用したいという方もいると思います。
このような資産売却によって得た資金も自己資金として認められます。
資産形成をした結果得た資金として評価される資金です。
第三者割当増資といいますが、すでに株式会社として会社を運営している場合には、その会社の株式を発行、売却して得た資金も自己資金になります。
ただし第三者が出資した理由を明確にする必要があります。
手元資金ではなくても、すでに事業のために使ったお金は「みなし自己資金」として認められます。
自分が保有する資金でも、次のような資金は自己資金として認められません。
資金の流れが不明確な現金は、自己資金とは認められません。
例えばタンス預金や金庫に入れてある現金などは、自己資金と認められないのです。
融資を受けるために一時的に借り受けたり、他の口座から多額の資金を移動させたりした場合には「見せ金」と判断され、自己資金と認められない可能性が高まります。
自己資金は事業に使えるお金でなければなりません。
事業に使う目的ではないお金を一時的に自己資金に見せかけている場合があるため、自己資金として認められないのです。
創業融資を受けるためには計画的に事業を継続できるか、返済が滞りなくできるかなどが判断されます。
そのために自己資金が必要なのです。
自己資金が少ない、自己資金として認められるか不安など、創業融資で困っている場合には、ぜひ弊社にご相談ください。
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