2021/2/8
会社を設立する時にはいろいろな手続きが必要になりますが、そのひとつに社会保険への加入があります。
ここでは、社会保険への加入義務について詳しく調べて解決していきます。
個人事業主から法人へなることを考えている社長さんにも参考になる内容となっています。
そもそも社会保険とは何なのでしょう?
社会保険とは会社に雇用されている社員やパート・アルバイトなどが加入する「健康保険(医療保険)」と「厚生年金保険(年金保険)」のことです。
健康保険とは、国の医療保険のひとつであり、会社で働く人とその家族の生活を安定させるための社会保険制度です。
会社で働く人やその家族が、病気やケガをした時や亡くなった時や出産した時などに、健康保険が適用になります。
また、従業員がケガや出産をして会社を休むことを余儀なくされ、給料が出ない時にも保険が適用されます。
健康保険の特徴としては、保険料を会社と保険の加入者である従業員が折半することです。
そこが、20歳以上60歳未満のすべての日本国民に義務付けられている国民健康保険と違う点です。
住所がある日本国民すべてに加入が義務付けられている公的年金のひとつが「厚生年金保険」です。
厚生年金保険は、20歳以上60歳未満のすべての人に義務付けられている「国民年金」に上乗せされ給付される年金で、年金基金を会社や団体ごとに設立し、基金に保険料を納めます。
会社を設立したら、たとえ社長1人しかいない場合でも、社会保険に加入しなくてはいけません。
個人事業主から法人になれば、これまでは国民年金健康保険と国民年金にしか加入できなかった事業主でも、会社に雇用されることになるため、健康保険と厚生年金に入ることができます。
これは、将来わずかな国民年金しかもらえないと不安を抱えている個人事業主にしてみれば大きなメリットです。
さらに、社会保険料の半額が会社の経費として計上できることから、役員報酬の金額によって大きな節税効果を得ることも可能となります。
会社として従業員を雇う場合は、社会保険に加入させなければいけません。
また、従業員に扶養の家族がいる場合、対象の家族の収入が一定未満であれば、扶養家族として社会保険へ加入させる必要があります。
社会保険の手続きは、会社の事業所を管轄している年金事務所で行います。
会社設立登記が完了した5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を年金事務所に提出することが義務付けられています。
その際には、登記簿や事業所の賃貸借契約書の写しなどが必要となります。
従業員がいない1人社長だとしても、基本的には社会保険への加入が義務付けられているわけですが、場合によっては例外もあります。
会社設立して間もなく、従業員がいない1人社長の場合は、役員報酬が0であるケースもあります。
その状態では、社会保険に加入しなくても問題はありません。
また、役員報酬がある場合でも、それが毎月支払うべき社会保険料を下回っているなら、給与からの天引きができないため、年金事務所から加入を断られることもあります。
そうなると、1人社長は国民年金保険と国民年金への加入が義務付けられることになります。
法人として事業を行うなら、すべての従業員と役員を社会保険へ加入させなければいけませんが、パートやアルバイトの場合は例外があります。
パートやアルバイトだとしても、「年収約106万円以上」「週20時間以上の労働」「勤務期間1年以上」「学生でない人」などの条件を満たしていれば、社会保険への加入義務が生じる可能性が高くなります。
ただし、反対にこれを満たしていなければ、加入させる義務がなくなります。
注意点として、パートの社会保険の加入条件は頻繁に法改正がなされることから、顧問税理士などにもよく確認しながら加入漏れがないようにしてください。
社会保険への加入義務には一部例外もありますが、それ以外の場合で故意的に社会保険へ加入しないままにしておくと、罰則を科されることもあります。
社会保険へ未加入の企業については、年金事務所がしっかりとした調査を行いますので、逃れることができないと考えなければいけません。
会社を設立したなら、きちんと決められた手続きを済ませてください。
社会保険に未加入の企業には、所轄の年金事務所から電話もしくは文書で加入要請の連絡が入ります。
この時にすぐに手続きを行って保険料を納めれば、問題になることはありません。
加入要請の警告を無視して放置すると、年金事務所の立入検査が行われ強制的加入となり、2年前まで遡り保険料の納付を求められることになります。
ちなみに、2年以上前の保険料は時効となります。
保険料の納付義務をおこたったり、立入検査を拒んだり妨げたりした場合などには、罰則が適用されることがあります。
また、被保険者の資格や取得や喪失などについて虚偽の届出をしたり、その他にも社会保険料に関することで故意に嘘の報告などをしたりした場合には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科されることもあります。