2020/3/13
会社を設立する時に必要な資本金ですが、いくらにするのが望ましいのか、また金額決定後の払込の方法で悩む方が多いことでしょう。
ここでは、会社設立の資本金をどのように決めるのか、節税のための金額設定や払込、手続きの方法まで説明していきます。
会社設立の資本金を決める前に、資本金の基礎知識をおさらいしていきましょう。
会社設立の資本金とは、事業を始めるにあたっての「元手」を意味します。
経営を行うために株主が出資した金銭、すなわち運転資金のことです。
資本金の金額が大きければ大きいほど資金繰りがスムーズになるため、会社の信用に直結するといっても過言ではありません。
資本金の金額が会社の規模や体力を表しているとも捉えられるため、多ければ多いほど信頼度が高まります。
以前までは株式会社の場合1,000万円以上、有限会社の場合300万円以上と資本金の最低金額が設けられていました。
しかしながら、2006年に新会社法が施行された際に上記の最低資本金制度が撤廃されています。
資本金はいくらでも問題なく、例えば1円からでも会社設立することは可能です。
例外としては許認可が必要な業種に関しては資本金の最低額が決められているものがあるため注意が必要です。
(例:有料職業紹介事業/一般建設業500万円~、一般労働者派遣事業2,000万円~)
自己資金300万円に加え、金融機関から500万円を借り入れた場合、資本金を800万円にすることはできません。
なぜなら、資本金というのはあくまでも自己資金を指すのであって、返済義務のある金銭を含めることは原則認められていないからです。
金融機関からの借入のほか、公的機関の融資制度やカードローン、家族や友人からの借金なども該当します。
これらは資本準備金として計上しましょう。
ただし、役員からの借入を株式化して資本金に計上する「DES(デット・エクイティ・スワップ)」は例外です。
次に、資本金の金額を決める方法についてご説明します。
金額によっては節税効果も期待できるため、会社の経営方針に合わせて設定してください。
会社設立後すぐに経営が軌道に乗れば言うことはありませんが、万が一売上が伸びなかった場合に備えておく必要があるでしょう。
3~6ヶ月の期間、売上がゼロであっても資金不足にならないくらいの資本金を用意しておくのが望ましいです。
以下のような出費を想定し、資本金の金額を決定します。
・事務所の賃貸に必要な契約金、家賃、共益費
・各種設備や消耗品、備品などの購入
・商品や原材料の仕入れ
・人件費や広告宣伝費、水道光熱費、通信費など
会社設立時の資本金を1,000万円以上に設定すると、初年度から「課税事業者」の扱いになります。
課税事業者には消費税の納付義務があるため、税金面でのデメリットが生じるのです。
一方、資本金を1,000万円以下に設定した場合、会社設立時から最大2期間「免税事業者」となり消費税を免除してもらえます。
また、法人税の均等割りも7万円に抑えられます。
資本金1,000万円以下の会社であっても、前期6ヶ月間の売上・人件費が1,000万円以上の場合は消費税の課税対象になることがあるので注意しておきましょう。
ここでは、会社設立の資本金を「どこに」「どうやって」払い込むのかをご説明します。
はじめに、発起人の銀行口座を用意します。
会社設立時にはまだ法人の口座がないため、新しく開設する必要はなく、すでにある個人の口座で問題ありません。
しかし、通帳のない口座は使用できません。
発起人が複数いる場合は、代表者(発起人総代)の銀行口座を用います。
会社設立後、会社の銀行口座を作ったのちに資本金を移せば良いです。
銀行口座が用意できたら資本金の払込を行いますが、この時、すでに口座に資本金がある場合でも一旦引き出してから振込む必要があります。
その理由は、「どれだけの金額が」「誰によって」払込されたかを通帳に記載する必要があるからです。
資本金の払込が終わったら、通帳のコピーを取ります。
コピーする必要があるのは以下の3点です。
・表紙
・表紙の裏
・資本金の振り込みが記帳されているページ
表紙、表紙の裏は支店名や支店番号、銀行印の記載を確認するために必要です。
他の書類と一緒に綴じることを考え、A4でコピーしておきましょう。
発起人から会社に払込があったことを証明するための「払込証明書」を作成します。
払込証明書を自身で作成する時は、以下の項目を漏れなく記載してください。
・払込の総額
・払込があった件数
・1株あたりの払込金額
・日付
・会社の所在地(本店の住所)
・会社名
・代表取締役の氏名
払込証明書の左上、代表取締役の氏名の右横に会社代表の捺印をします。
最後に、すべての書類を綴じて完了です。
払込証明書、通帳コピー(表紙、表紙裏、記帳ページ)の順でホッチキス止めします。
各ページに割り印することも忘れないでください。
会社を設立する時の資本金には最低金額が設けられていませんが、会社の規模や節税メリットを考慮して1,000万円をひとつの基準にすることをおすすめします。
どうしても資本金額の設定方法に悩んだ時は、専門家に相談するのが望ましいでしょう。