2019/11/21
大学生で一人暮らしをする子供への仕送りは、税金の対象になる可能性があるのをご存じですか?
生活費など仕送りする理由は家庭によってさまざまですが、遠く離れた家族のために仕送りをしている人は少なくありません。
今回は、仕送りと税金の関係性や、贈与との違い、確定申告の必要性について詳しく解説します。
「仕送りも贈与税の対象になる」と聞いたことがあるかもしれませんが、生活費・教育費の範囲内であれば税金が発生しません。
国税庁は贈与税について、夫婦や親子などから生活費や教育費の財産(仕送り)は必要なものであるとしています。
生活費は日常生活で使う費用、教育費は授業料や教材・文具費用です。
大学進学などにより一人暮らしする子供への仕送りなど、税金の心配なく毎月生活費の受け渡しをしても大丈夫です。
仕送りの税金が対象外なのは、通常生活に必要なものに限ります。
例えば、両親から学生の頃に仕送りされたけど、使いきれず貯金したとします。
貯金額が200万円に増えたので社会人になってから自動車を購入した場合、贈与税が発生するので注意しなくてはいけません。
少しややこしいのですが、仕送りはあくまで学生で一人暮らしするための生活費と教育費です。
自動車を購入するために両親が仕送りしたわけではありません。
贈与税は1年間で110万円以上、現金を個人から個人へ受け渡した時に発生します。
受け取った額により税額は異なりますが、200万円だと10%の税率が課せられます。
贈与税を納めるために確定申告が必要なので、忘れずに行いましょう。
仕送りの税金ですが、扶養義務者から生活費や教育費を受け取った時は対象外です。
扶養者の範囲は「6親等内の血族および3親等内の姻族で生計を一にする」状況をいうのですが、必ずしも一緒の家に住んでいる人とは限りません。
実家から離れて大学の近くで一人暮らしする学生や、単身赴任で夫だけが都心で暮らし仕送りするケースもあります。
どちらも扶養者ですが、家族全員が同じ家に同居していません。
学業や仕事の関係で別居していても、生活費などのために常に仕送りをしていれば税金対象外です。
明らかに扶養者どうしが別居生活していると認められない限り、生計を一にすると見られます。
実家へ仕送りすると税金が安くなる可能性があります。
仕送りによって税金を控除できるため、家計を見直すことで節税できます。
生計を一とする親族、同じ家に住んでいない両親への仕送りや、老人ホームの入居費用を子供が払っている場合、費用を負担している側が申告で控除できるのです。
ただし、実家へ仕送りをすれば誰でも税金が控除されるとは限りません。
次の条件を満たしている人のみが対象なので、気をつけてください。
・配偶者以外の親族である
・生計を一にした実家へ仕送り
・所得金額が年間合計38万円以下
・青色申告者(白色)の事業専従者ではない
・事業専従者として年間一度も報酬を受け取っていない
仕送りをする実家の両親が満70歳以上の場合、老人扶養親族となり、老人扶養控除が適用され、控除適用後は所得税と住民税が少なくなります。
所得税の控除額は、同居しているなら58万円、別居しているなら48万円です。
別居する実家の両親を扶養するには、勤め先で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を入手し提出しなくてはいけません。
仕送りしている証明書や、両親の収入がわかる証明書が必要なので、早めに手続きすることをおすすめします。
仕送りは国内の家族だけではなく、海外在住の家族へ送金して、生活をサポートするケースもあります。
「海外への仕送りは税務署に知られない」と思う人が多いのですが、国内外どこへ送金しても気づかれます。
海外の仕送りの税金は、手続きをしておくと課税されません。
何もせずに仕送りし続けると贈与税と見られ、税務署による調査や追加徴収されるので気をつけてください。
海外に暮らす家族に仕送りする場合は、年末調査などの際に「親族関係書類」と「送金関係書類」を提示しなくてはいけません。
親族関係書類とは、戸籍の写しまたはパスポートの写し、在住する国の政府または地方公共団体が発行した書類が必要です。
多くの書類が原本を必要としますが、中には写しでも可能なので確認しましょう。
送金関係書類は、家族へ生活費や教育費を支払ったことを証明するものです。
例えば、金融機関を通した送金の記録やクレジットカード会社が発行する書類などが対象となるので、どの方法で仕送りをしているのかでかわります。
書類の多くは写しでも問題ありません。
どちらも年末調整を提出する際に添付するため、早めに必要書類を用意しておくとスムーズです。
仕送りの税金は、生計を一とする親族へ生活費や教育費を目的としているなら、課税対象外です。
実家の両親や海外の家族へ仕送りをする場合、手続きをしないと贈与税と見られる可能性があります。
必要手続きを行うことで税金対策になるので、税務署に税務調査されないように確認しておくことが大切です。