2019/12/1
仕事を探す時、交通費が支給されるかどうかを条件に入れる人も多いのではないでしょうか。
しかし、交通費が給与に上乗せされる場合は、扶養控除や所得税、住民税に大きく影響します。
今回は、交通費と税金の関係、非課税となる上限額や交通費が年収に含まれた場合の還付、税金対策などについて解説します。
交通費の税金は、上限額を超えなければ非課税です。
通勤手段によって非課税になる上限額が異なるので、詳しくは次の表をご確認ください。
通勤手段 | 片道の通勤距離と上限額 |
マイカーや自転車 | 2km未満:全額課税 10~15km:7,100円 15~25km:12,900円 35~45km:24,400円 55 km以上:31,600円 |
電車やバス | 150,000円 ※1ヶ月あたりの合理的な運賃などの額 |
交通機関や有料道路 | 100,000円 ※1ヶ月あたりの合理的な運賃などの額 |
交通機関の通勤用定期乗車券 | 100,000円 ※1ヶ月あたりの合理的な運賃などの額 |
交通機関(有料道路)+交通用具 | 100,000円 ※1ヶ月あたりの合理的な運賃などの額 |
※上限額の通勤距離と限度額は一例
※交通用具とは、マイカーや自動車など
交通費が限度額を超えた部分のみ、課税対象です。
限度額を超えた交通費は、1ヶ月の給与額に上乗せして所得税などの源泉徴収がおこなわれます。
交通費の税金対象になるものは、仕事に必要のない費用です。
次のような状況で交通費が支給された場合、税金対象になるので気をつけましょう。
・徒歩で通勤できる距離なのに交通費が支給されている。
(年末調整の給与所得の基本給に含まれて課税)
・単身赴任先から家族に会うために帰省する交通費が支給された。
(単身赴任先から本社を訪れたついでに、同じ地域に住む家族に会うなら非課税)
・社員教育のためセミナー講師をして、支給された交通費が報酬に含まれて振り込まれた。
(通費を経費にするためには領収書が必要)
交通費を非課税にする場合、ガソリン代や交通機関の領収書が必要なので保存しておきましょう。
給与明細書に「交通費」の項目がなく、基本時給に交通費を上乗せして支給する会社もあります。
交通費が時給に含まれてしまうと所得として課税対象になりますが、給与明細書に「時給に交通費を含む」などの記載があれば、年末調整や確定申告で還付される可能性があります。
時給に交通費が含まれる場合と、含まれない場合とで給与の総額も左右されるのでしっかり確認をしましょう。
交通費と記載されていない給与明細書は課税対象になります。
交通費を非課税にするために勤め先に確認してください。
交通費とは、会社に通勤するために発生する料金だけではありません。
会社の都合で出張や転勤した時、旅費交通費の名目以外で支給された手当も交通費に含めて節税できる可能性があります。
交通費以外に、次の名目で手当を受け取っている人は確認しましょう。
・日帰りだけど出張手当を支給された。
・出張中の食事代が支給された。
・就職のために転居した費用が支給された。
・退職のために社宅の引越し費用が支給された。
所得税法第9条の規定で交通費は非課税です。
交通費を支給された給与所得者が死亡した場合も、社宅の引越し費用などが非課税なので確認しましょう。
交通費の税金は規定範囲内であれば非課税です。
ただし、非課税になるにはどんな交通費や旅費でも問題ないとは限りません。
会社から支給された費用は、税務計算や処理された交通費のみが非課税対象です。
例えば、次のようなポイントが守られているか確認しましょう。
・日帰りや宿泊を伴う出張手当の額がしっかり決められている。
・役職以外の従業員も食事代や出張手当などが支給されている。
・交通費の支給名目と出張報告書に一致した記録がある。
・範囲を超えた出張費などが支給されていないか。
役職のある人だけ出張費や宿泊費が支給されていると、旅費交通費は課税される可能性があります。
また、算出基準より高額な交通費は、税務調査で指摘されるので注意が必要です。
納得できるような理由があるなら証拠を用意しましょう。
節税のつもりの交通費が課税対象となり、所得税や住民税が高くなるケースもあります。
支給された交通費は社員平等なのか、会社に確認することをおすすめします。
交通費の税金はマイカーや電車など、どの手段を利用するのかで非課税の上限額が変わります。
上限内の交通費であれば年末調整や確定申告で源泉徴収された分が還付されるので、所得税や住民税が増える心配はありません。
時給に交通費が上乗せされているなら、給与明細に交通費含むなど記載があるか確認しましょう。
交通費が課税対象になると扶養控除できないケースもあるので、会社へ確認することが大切です。