2019/12/9
事業に必要な費用を経費で落としたい時には、会計時に領収書を発行してもらうのが一般的です。
それは、経費の算出にレシートは使えず、領収書でなければいけないという認識があるからではないでしょうか。
では、その根拠は何かと聞かれると、説明できない方も多いはずです。
そこで今回は、レシートと領収書の違いについて説明いたします。
代金の支払いを受理した証明として、「レシートはダメで領収書ならいい」というのが暗黙の了解のようになっています。
レシートと領収書の違い、そして経費の精算においての有効性を比較していきましょう。
レシートは英語で表記すると「receipt」となり、そのままレシートと読みます。
receiptを日本語に訳した場合の言葉は「領収書」になります。
つまり、領収書を英語にすると「receipt」、つまるところレシートも領収書も同じ意味なのです。
このことからも、海外では日本のようにレシートの代わりに領収書を発行するという習慣がありません。
したがって、海外出張などでは領収書はもらえないものと考えておきましょう。
とは言え、レシートと領収書には記載内容に違いがみられます。
レシートはレジから印刷されて出たもので、購入した日付や店名、品目、商品毎の単価、取引内容が印字されています。
宛名(購入者の氏名)が記載されていないのがレシートの特徴です。
一方、領収書は手書きで記入してもらうもので、レシートに印字されている情報に加え、宛名が記されています。
ここで注意しなければならないのが、経費精算においての有効性は「宛名の有無で決まらない」ということです。
消費税法においては、経費の証拠書類に「購入者が誰なのか」という情報が求められています。
しかし、一般的な小売や飲食、交通費、駐車場料金といった不特定多数の客を対象にした事業者が発行する書類については、宛名を省略してもよいことになっているのです。
そのため、上記のような取引に関してはレシートにも有効性があります。
むしろ、情報の改ざんが難しく、どんな品物を購入したかが明記されているレシートの方が、「品代」と書かれた領収書よりも、取引の証拠として信頼性が高いと判断されるケースも多いです。
印鑑のないレシートや領収書は無効になってしまうかというと、実はそうとも限りません。
領収書に印鑑が必要というのは、法律で規定されているわけでなく、日本の慣習による先入観といっても過言ではないのです。
ただし、会社によっては捺印のない領収書を認めないところもあります。
手書きという性質上、領収書の偽造は容易にできてしまうからです。
会社規定で印鑑が必要な場合は、領収書に捺印してもらう必要があります。
店頭で領収書を発行してもらう場合、レシートを出してくれるところもありますが、ほとんどは回収されてしまいます。
店側がレシートと領収書を両方出さないのはなぜなのでしょうか。
レシートと領収書を両方出してもらえないのにはきちんとした理由があります。
先に書いたように、レシートは領収書の代替として使用することができます。
つまり、同時に発行することで経費を二重に精算することを可能にしてしまいます。
不正使用をおこなった場合、違反者本人に延滞税が科せられるなどの罰則が設けられていますが、発行した側が有印私文書偽造の罪に問われることがあるのです。
二重発行しないのは不正防止のための店側の処置といえます。
万が一両方受け取った場合には、意図せず二重請求してしまうのを避けるべく、提出時には同じものであることが明確になるようまとめておきましょう。
バスや電車などの交通費、香典やお祝いなどの慶弔費、自動販売機で購入した飲料代などに関してはレシートや領収書が発行されません。
これらの出費を経費に計上したい場合、「出金伝票」を発行することで対処できます。
出金伝票は文具店などに行けば100円程度で購入することができますが、エクセルで作成したものでも構いません。
日付、金額、取引相手の氏名、取引内容を記載する必要があります。
慶弔費の場合は招待状や祝儀、香典のコピーなどを併せておくと信用性が増します。
しかしながら、出金伝票はレシートや領収書に比べて優先順位が低いです。
金額が大きくなると税務署の審査で認められない場合があるため、レシートや領収書が発行されるものは失くさないように保管しておきましょう。
レシートと領収書には、法律上に大きな違いがないことがお分かりいただけたと思います。
経費の証拠書類としての有効性はどちらにもあり、本来ならばレシートは領収書の代わりになるものです。
しかし、あなたが社員という立場であれば社内ルールが優先されるため、会社の規定を遵守することは避けられません。